INTRODUCTION

1967〜68年に英ITVで放映された『プリズナーNo.6』は、シュールで奇抜なビジュアルと、謎を投げかけておきながら明確な答えが得られないという結末で、物議を醸した。シリーズを隅々まで見ても、話のオチどころか、主人公の名前や素性すら特定できず、意味深なモチーフばかりが残るという難解さ。視聴者はあれこれ推測して納得するしかなかったが、逆に、考えれば考えるほどさまざまな解釈ができる作品としてカルト化し、現在では“不条理SF”として位置づけられている。
そんな問題作が、放映から40年以上を経たいま、全6話のミニシリーズとして蘇った。
製作は英国の民放TV局ITVと、『シャーロック・ホームズの冒険』などで知られるグラナダTV。初放映は2009年11月15〜17日にかけて、米国のケーブル局AMCにて2話ずつ3夜連続で放映された。
主人公No.6を演じるのは、映画『シン・レッド・ライン』、『パッション』などで主演を務めた実力派ジム・カヴィーゼル。物語のキーマンとなるNo.2は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのイアン・マッケランが演じる。
リメイク版の企画はこれまでにも何度か上がっていたが、どれも実現には至っていなかった。その一つが、メル・ギブソンが考えていた映画化の企画である。本作に主演したジム・カヴィーゼルは、ギブソン製作の映画『パッション』に主演したとき、ギブソン本人から『プリズナーNo.6』の話を聞いたという。しかしこの話は途絶え、結局カヴィーゼルは別のところから出たリメイク企画に関わることになった。カヴィーゼルは、ギブソンから聞くまで『プリズナーNo.6』というドラマが過去にあったことすら知らず、このリメイク企画を正式に依頼されたときも、先入観にとらわれないように、オリジナル版を全く見ずに撮影に臨んだという。
監督のニック・ハランは、「オリジナル版を踏まえつつ、なおかつ現代の新しい空気を取り入れるようにした」と胸を張る。オリジナル版のファンであっても、そうでなくても楽しめるドラマである。